M&Aで重視される指標のKPIについて

会社売却でM&Aプロセスに入ると、KPI1というデータが特に重要視されるようになります。

業績が順調な会社だとKPIはあまり意識したことがないかもしれません。
KPIは、集客数がどれくらいで、成約数がどれくらいで……という業績を評価する指標データのことなのですが、M&A業界とかコンサル業界とか、他社の内情分析をする業種はKPIがとにかく大好きです。

目次

KPIは業績を評価するための指標

KPIは、指標といっても特定の計算方法や分析があるわけではありません。
ビジネスモデルごとに表現される内容が異なります。

ビジネスの実態を適切に表現したKPIがあれば、第三者が見てもその会社がどんなビジネスモデルかイメージしやすくなります。

KPIの例を挙げてみるとこんな感じです。

サイトアクセス数(Googleアナリティクスで集計することが多い)
UU(Googleアナリティクスで集計することが多い)
コンバージョン(問い合わせ数や、セミナー参加数や、サンプル請求数など、顧客情報が取れるフェーズ)
商談件数
契約件数
リピーター数

データを図にするとこんな感じになります。↓

ちなみにKPIの達成された売上とか成約数のことをKGI2と呼ぶのですが、業界スラング的にKPIとKGIをひっくるめてKPIと呼んでいる印象があります。

KPIの改善とその意味

KPIが見えると、会社の弱い部分や、補完したら業績が伸びやすい部分がわかるようになります。

たとえば、

  • サイトアクセス数が増えれば業績が伸びそうなKPIなら、資金力のある買い手企業や、ネット集客を得意としている買い手企業が買い名乗りを上げやすくなるかもしれませんし、
  • 商談件数はあるのに契約件数が少ないKPIなら、営業クロージングを得意とする買い手企業が業績を伸ばせると考えるかもしれません。

買い手企業からすれば、決算書の貸借対照表のほかにも、買収前のKPIと買収後のKPIを比較することによって業績の伸びや改善を表現することができるようになります。

そしてKPIが改善できると、買収したときよりも高い株価にして次の買い手企業に株式譲渡をすることができるようになるのです。

KPIの作り方

KPIを作成するためには、まずは、それぞれのデータがたとえバラバラでも、普段から業務の中で基になるデータを蓄積する体制にしておくことが必須です。

データを蓄積してないと作れませんし、後から取り出せるようにしておかないと、KPIをまとめるときに、膨大な作業量になってしまうので、ほぼ詰みます。

そして集客から成約に至るまでの事業上の顧客の流れをチェックポイントごとに数値化し、これを例えば月別などの期間別にまとめられるようにします。

ちなみに私の経験でも、せっかくアンケートをとって集めたデータが、紙のアンケートだったためにKPIに反映するのを断念したことがあります。

できるだけ早い段階で、KPIを作成することを念頭に置いた社内体制を構築していきましょう。必ずその手間をかける価値はあります。

KPIの重要性はますます上がっている

最近のM&Aは特にKPIが重視されていると感じました。
中にはKPIが用意されている前提で話を進めてくるM&A仲介会社さんもあったくらいです。

M&Aに耐えれるレベルという意味では毎月手入力したExcelでも問題ありません。
Googleスプレッドシートを使うのがコスパ最強です。
社内システムが必須のビジネスモデルであればKintoneなどのクラウドシステムで構築する際、KPIも取り出せるように設計するのがよいでしょう。

KPIはビジネスモデルや会社ごとにさまざまな構造になるので、近いビジネスモデルのKPIを参考にしてぜひ用意してみてください。

  1. Key Performance Indicatorの略 ↩︎
  2. Key Goal Indicatorの略 ↩︎
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