会社売却に向けて社内規定を整理し、買い手企業に提出しやすくしておこう

目次

M&Aの会社売却に向けて、社内規定の整理と把握をしておく

適切に会社経営していくためには、社内規定の積極的な策定が必要になってきます。

そしてM&Aで会社売却する際には、これまで作成した社内規定はすべて提出することになります。

もし社内規定が、社外の弁護士や社労士に丸投げで経営者が把握していないと、買い手企業からの質問や確認があった際に答えられず、びみょうな空気になるかもしれないので、試験や面接に臨む程度には社内規定の整理と把握が必要です。

必須の社内規定と、オリジナル規定

社内規定には、定款や、就業規則のように、必須の規定と会社オリジナルの必須ではない規定があります。

社労士や弁護士に依頼して作成したり、一般的な規定だとテンプレを改造して作成することもあると思います。

社内規定は、わざわざ不要なものまで作らないはずですし、会社の事業内容や規模で必要になるタイミングや内容も違うので、社内規定は会社によって多種多様になっているものだと思います。

社内規定を作成する目的

会社が大きくなってきたときに社員が各自でばらばらに動けば、会社は組織的に動くことができなくなります。
本来、社内規定は、社員が動くときのルールを作ることで、組織的に動きやすくするためのもの、会社が向かってほしい先を示すものです。

「破格の手当が付く給料規定」とか、「推し活用の有給がある」とか、たまにおもしろい社内規定がニュースになっていたりします。
これらは社内のルール作りのほかにも、話題作りだったり、採用手段の一環だったりするようです。

M&Aにおける社内規定の意味合い

M&Aでは社内規定が合併後のPMI(経営統合プロセス)にも大きく影響することがあります。
社員の労働環境を守るためにも、デューデリジェンスのタイミングで提出できるように次のことも準備しておきたいです。

社内規定のリストがあるとよい

社内規定を整備するほどであれば、基本的に社内で閲覧できるようになっているはずなので、デューデリジェンス時の提出も難しくないはずです。

どちらかというと、規定したのに提出が漏れていた、などがないように作成した社内規定一覧があるとよいでしょう。

社内規定の作成履歴もほしい

社内規定は、入社時の雇用契約に「社員は社内規定を遵守する義務を負う」などがあれば社内規定に拘束されます。
雇用契約後に作った社内規定の中に、社員にとって不利益な規定があると適用できない可能性があり、社員の入社日と、社内規定を作った日の管理も大事だったりします(そこまで厳密になることはないはずですが本来的には。)

社内規定の点検履歴もほしい

また、社内規定は作っただけ、という話も割とよく聞きます。
社内規定は、定期的に運用が正しくおこなわれているかチェックを必要とするのですが、M&A的にはどのタイミングでチェックしたか、規定および実態のそれぞれでどういう改善が必要だったかの履歴も残しておくと尚良しです。

社内規定の見直しもしておきたい

社内規定は後から増えていくものなので、定期的に見直しがされていないと、デューデリジェンスの際、提出した各社内規定が「A規定とB規定、内容がコンフリクトしてますよ」とか「この規定の根拠となっている法律は◯年前に改正されてますよ」と言われるとちょっと恥ずかしかったり困ったりします。

一般的な社内規定一覧

一般的な社内規定には次のようなものがあります。

経営関連の社内規定(例)

取締役会規程取締役会の開催、運営についての決まり
監査役会規程監査役会の開催、運営についての決まり

雇用関連の社内規定(例)

就業規則始業・終業時刻、休日、休暇、賃金、退職や各種の手当などの決まり(届け出義務あり)
育児・介護休業規程社員の育児・介護休業に関する決まり
賃金規程社員の賃金に関する決まり
賞与規程賞与制度に関する決まり
職務発明規程社員が業務上発明をした場合の特許や報酬に関する決まり
テレワーク勤務規程社員がテレワークで働く場合の決まり

運用関連の社内規定(例)

稟議規程稟議事項の基準および稟議の手続き、決裁方法などの決まり
経理規程経理に関する方針や決まり
出張旅費規程出張旅費の適用や手当に関する決まり
慶弔見舞金規程社内社外の慶弔時の見舞金に関する決まり
ハラスメント防止規程セクシャルハラスメントやパワーハラスメントの定義や禁止行為、適用などの決まり
内部通報規程内部通報制度やその運用に関する決まり
ソーシャルメディア利用規程社員のソーシャルメディア利用に関する決まり
個人情報管理規程個人情報の取り扱いに関する決まり
文書管理規程文書の管理方法に関する決まり

これらは社内規定の例です。
M&Aではこれらすべてを提出することになりますのでしっかり管理をしておきましょう。

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