会社売却に向けて、事業活動に必要な許認可証・資格を確認しておこう

M&Aで会社売却する際に、重要な書類が、事業で必要になっている行政からの「許認可証」です。
許認可証は、デューデリジェンス(DD)で提出することになります。

許認可の有無は、事業活動をしてよい根拠でもありますので、必要な許認可証がなければ違法に経済活動をしていることになってしまいますし、デューデリジェンス(DD)を乗り越えられないか、買収価格の値下げ要因になってしまいます。

目次

許認可証、こんなところに注意(うっかり!やばい!)

許認可取得状況は、企業概要書(IM)の作成時にも記載する

許認可証の有無は、その正当性をアピールするために、企業概要書(IM)にも記載します。

ここで記載漏れがあると、事業の許認可を正しく把握していないみたいになるので、ちょっとはずかしいです。

「あると思ったら紛失してた!」「有効だと思ったら期限が切れてた!」

ちゃんと申請したし、許認可も受けたので、企業概要書(IM)に記載した時点ではあると思っていたんだけど、いざ用意しようとすると所在がわからないとか、更新を忘れていて有効期限が切れていた、など起こりますので実物を確認したほうがよいです。

特に許認可証は、各許認可内容の実行時に「携帯すること」を求められることが多いですので、普段から従業員のオペレーションや許認可証の管理をしていないと紛失のリスクもあります。

許認可証はあるけど使用履歴が残ってなかった!

許認可証の中には、許認可内容を実行した場合に、使用履歴を残さなければならない許認可もあります。

許認可証の有効期限も所在も間違いないけど、使用履歴を残すのを忘れていた場合、あとから再現することがむずかしいと思いますし、買い手企業から「ああ、そういうコンプラ状態の会社、そういう管理レベルの会社なのね」と受け取られかねません。

オーナー経営者の交代や退職で、資格喪失する許認可証

企業概要書(IM)に「許認可証あります!」とアピールしたものの、オーナー経営者が交代や退任すると、許認可を受ける根拠を失ってしまう許認可もあります。
自社の取得している許認可がそれに該当するのか、M&Aに着手する前に確認と把握をしておきたいです。

もし、オーナー経営者が交代や退任して失効してしまう許認可がある場合は、株式譲渡後の許認可をロックアップの形で残り続けて維持するのか、次の経営者に再取得してもらうのかも条件を協議しなければなりません。

無許可営業は罰金や、再取得まで営業停止も

無許可営業をしているとたいていの許認可ではペナルティとして罰金が設定されています。
当然、買い手企業は無許可営業をよしとしませんので、再取得まで営業停止で損失が発生することも考えられます。

これらは、デューデリジェンス(DD)の減額要因になります。

M&Aで許認可証があることの強み

難易度の高い許認可は参入障壁になる

許認可は、比較的簡単に取得できるものから、取得の難易度が高いものまであり、難易度に応じて参入障壁が高くなります。

参入障壁が高い許認可を取得している企業は、買い手企業から見てもそれだけ売上を見込みやすい会社、価値が高い会社ということになります。

事業に必要な許認可は融資の前提条件

銀行や信用保証協会、政策金融公庫など融資を申し込む際には、事業活動に必要な許認可証の写しの提出が求められます。
必要な許認可証がないと申し込み自体を受け付けてもらえません。
融資の前提条件ですので、M&Aを進めていく強みになります。

許認可証のチェックは経営者の役目

私も、M&Aに着手するときに、許認可証の使用履歴が正しく残っていなかったということを経験し、1件1件毎日の業務報告を読み返しながら、使用履歴の記入しなおしをすることになりました。

従業員には許認可証の重要性や、オペレーションルールについて注意深く説明しても、日々の業務の中でずれていったり、重要性が下がっていくことはあるのだと思いますので、経営者の仕事だと思って定期的なチェックや、社員教育を継続することが必要だと実感しました。

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