私自身、社会保険の未加入や未払の会社を売却したことがないので、社会保険が未加入や未払だったらどうなるか詳しくはわからないのですが、ディールが成立しにくくなるのは間違いないと思います。
実際にデューデリジェンス(DD)では、法務と財務の2つの角度から、しっかり社会保険の加入と支払い状況についての確認があります。
社会保険の加入状況や納付状況の確認
社会保険の加入状況を確認する具体的な提出物は、
- 社会保険料の振込または引き落としが分かる銀行口座の履歴
- 年金事務所からの「保険料納入告知額・領収済額通知書」
- 社員の給与明細書等のデータ
などでした。
基本的に記録が残っているものなので、あえて準備するようなものでもありませんが、用意しておきます。
もし仮にM&Aで社会保険の未納が発覚したら? やばい
社会保険は強制加入ですので、未納はない前提です。
株式譲渡時の株価は、社会保険料の未納がない前提で算定されますので、もしデューデリジェンス(DD)中に、社会保険料の未納が発覚すれば、買収価格の減額要因となります。
株式譲渡後に社会保険料の未納が発覚した場合は、譲渡した株主に未納の社員分と会社負担分、ダブルで損害請求が発生するだろうと思います。
社会保険を払わないために業務委託先にしてるとM&Aで売却しにくい
買い手企業にとって、M&Aで会社買収をする意味は、優れた事業を手に入れるとともに、優秀な従業員を確保したい、という目的もあり、優秀な従業員の数は利益の源泉です。
小規模事業者の中には、社会保険料を支払いたくないので社員ではなく業務委託先にするという話を聞いたことがありますが、これも良くありません。
より良い会社売却を目指すのであれば、実態に則して、より良い雇用契約や社会保険の加入が必須だと思います。
オーナー経営者の社会保険の注意点(特に気をつけて!)
ところで、デューデリジェンス(DD)に向けた提出物や体制作りとはやや違う話になるのですが、オーナー経営者の退任後の社会保険をどうするかも、よくよく検討しておいてください。
もし、オーナー経営者が株式譲渡後、すぐに退任してしまうと、退任以降、売却した会社の社会保険に加入ができなくなる場合があります。
会社の社会保険から抜けると、地方自治体の国民健康保険に加入することになりますが、前年の収入によって決まるので、もし、前年に高額の収入を得ていると(というか株式譲渡益がすごい金額になっているはず!)、翌年の国民健康保険料は上限の年間106万円になります。
オーナー経営者が別の会社の社会保険に所属していないなら、会社売却後、すぐに会社から離脱せずに、翌年の社会保険に加入させてもらえるよう買い手企業さんにお願いしておいたほうが良いでしょう。
