M&Aのデューデリジェンス(DD)で問われる安全衛生を事前に確認しておこう

M&Aでは、安全衛生がデューデリジェンス(DD)の1つの確認事項として挙がってきます。

私の経営経験は主に製造小売業が中心でしたので、M&Aを検討するより以前から必要あって安全衛生の取り組みをおこなっていましたが、「デューデリジェンス(DD)で安全衛生が問われる」ということを知らなかったら、何の準備もなしにM&Aやデューデリジェンス(DD)に突入する売り手企業は少なくないんじゃないかと思います。

もちろん私も最初は知りませんでした。

目次

安全衛生がすごく必要な業種とそうでない業種はたしかにある

安全衛生はとても大切な取り組みなのですが、業種によっても積極的だったり、優先順位が低かったりして温度差があるように思います。

私の経験でも、製造工程や商品の運搬時に、従業員や外注先の人がケガをする可能性がありました。

逆に、ITやコンサル業など、移動も公共交通で、デスクワーク中心で、在庫管理もない業種であれば、そこまで安全衛生が問われることもないかもしれません。

安全衛生は継続的な取り組みや実績が問われる

製造業や建築業、運輸業、農業、工業、などなど、従業員が日々の業務において、少しでもケガをする可能性がある業種なら、下記に挙げるような安全衛生の取り組みを実施しておくことをおすすめします。

いざM&Aに取り組もう!となったときに、それまで安全衛生に取り組んでいなければ、後から実績を作ろうとしても、過去にさかのぼって実績を作れないからです。

安全衛生の実際の取り組み(例)

安全衛生については、詳しい方がいたのでアドバイスをもらいながら、次の取り組みをしました。

◯安全衛生の講習

安全衛生に関する講習会が地域ごとに開催されていますので、予算を取って従業員にも参加をしてもらいました。
機械装置によっては研修を受けていないと業務で使ってはいけないものもありますので、その業務に従事する人には必要日数分の研修を受けてもらいました。

◯定期的な、安全衛生の社内会議、安全衛生責任者の設置

一ヶ月に1時間程度時間をかけて、各部署のリーダーを中心に安全衛生に関する部署別会議を全員参加してもらうようにしました。
その際、安全衛生責任者を受けてくれる従業員には個別に話し合い、お願いをしました。

会議では、日頃気になっている、危ないと感じること、ひやりとしたこと、実際ケガをしたこと、それらの改善案について意見を出し合い、記録にして社内共有しました(この現場からの意見と記録が特に重要です)。

◯安全衛生に関する予算付けと取り組み履歴の記録

安全衛生の会議で上がってきた懸念や改善案について、経営者の立場で予算付をして、実際に改善をおこない、関係者全員に改善を通知するようにしました。

またそれらの改善した取り組みについて、記録を残し、次回の安全衛生会議で発表し、取り組み事例の共有や、安全衛生を重視している会社の姿勢を従業員に伝えるようにしました。

従業員たちの自主的な手作りの安全対策もあったのですが、これらは社内の雰囲気を良くするのにも役立ってくれました。

◯労災保険とビジネス補償の保険への加入

これは特に問題ないと思いますが、労災保険についても問題ないようにしました。
また、民間の保険会社の事業補償系の保険を活用し、大ケガをした場合の補償にも備えるようにしました。

◯救急具の備え付け

各事業所に救急用品を備えるようにして、従業員に管理してもらうようにしました。
飲み薬は必要ないので、救急用品はそこまで予算が必要なかったですが、心理的な効果は大きかったです。

◯近隣の総合病院の把握と移動手段の確認

これは安全衛生会議の取り組みの1つですが、各事業所ごとに、近隣の総合病院のリストや住所、電話番号などを確認するようにして、ケガをしたときの移動手段をどうするかについても話をを持ってもらいました。

◯厚生労働省のサイトの確認

これはどちらかというと、経営者である私や他の取締役の取り組みでしたが、厚生労働省サイトで公開されている安全衛生に関する情報について、目を通すようにしました。

◯安全衛生をタテマエとして、整理整頓と掃除を言いやすかった

「整理整頓しなさいよ」「掃除をちゃんとしましょう」という普通ならお小言のように聞こえる指示も、「従業員が安全に働きやすいように」「みんながケガをしないように」という大上段のタテマエで「社員想いの経営者の顔」をして言いやすかった、という思わぬ副産物もありました笑

安全衛生は取り組んでいるだけで、平均よりやっているほう

私のおこなった安全衛生は、建築業や運輸業などのガチの安全衛生が必要とされる業種から見たら比較にもならないライトな安全衛生でしたが、M&A案件として見たときには、どうやらこれくらいでちゃんとやっているほうになるのだそうです。

デューデリジェンス(DD)ではそのまま、これらの取り組みを共有するくらいで十分でした。
逆にデューデリジェンス(DD)では「これらの安全衛生の習慣や取り組みは続けてほしい」とお願いしたくらいです。

どの程度、安全衛生に取り組むかは各会社の判断ですが、安全衛生にきちんと取り組んでいるだけで、一気に「ブラック企業じゃない優良企業感」が出ますのでぜひご参考ください笑

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