M&Aの会社売却で、トップ面談以降によく受けた質問に、
- どうしたら業績はもっと伸びると思いますか?
- 事業のネックになっているのは何ですか?
があります。
ここまで会社を成長させてきた経営者に、買収後の旨味について率直に聞いているわけですね。
お金を介して取引をしているわけですし、投資のリターンに正直なのは私も好感が持てました。
会社売却にかかわらず翌期の事業計画は立てておく
比較的普通な話とは思いますが、私は銀行に融資を申し込むとかにかかわらず、事業計画は毎年更新して、それまでの事業計画の達成率もチェックするタイプの経営者でした。
M&Aに挑戦したときから、自社は良い会社なので必ずM&Aが成立する!と確信をしていて翌期の経営は自分ではないだろうと考えていましたが、M&Aが成立しなくても問題がないよう翌期の事業計画も立てていました。
冒頭の質問に対して、私が経営を担わないはずの翌期の事業計画を踏まえて回答したことで「おお、ここまで綿密な」と非常に感心され、好感を得ることができました。
買収対象企業の伸びしろは美味しく見える
ちょっと微妙なニュアンスなので伝わりにくいかもしれませんが、私は経営の手順をモンスターハンターとかのゲームに例えることがあります。
ゲームを効率的に進めていくためのあるアイテムAを入手するためには、手順としてその前段階にアイテムBを入手しておくのが効率的で、アイテムBを入手するためにはその前段階にアイテムCの入手が必須……みたいなことが会社の成長戦略の中でもよく起きます。
買い手企業が知りたいのは、そういう「次のステップではどの分野をどれくらい強化したら効率的に会社の業績が伸びる?」という成長プランです。
会社の伸びしろの例
会社によって不足しているリソースは異なると思いますが、およそ次の項目が伸びしろの例です。
- 営業人材の拡充なのか
- 商品生産能力なのか
- 特定の設備投資なのか
- 管理体制や管理システムの強化なのか
- 商品開発なのか
- 仕入れの強化なのか
- 運転資金の規模拡大なのか
- 販売所や販売ルートの開拓なのか
- 広告宣伝の規模拡大なのか
- ブランドの強化や会社の格上げが必要なのか、等々
自分たちで用意できる範囲だけでそれまでの経営のやりくりをしてきたわけですが、
「予算や人材などのリソースを好きに使えるとしたら、どこを強化したい?」を自由に考えてよい話
なので、けっこうワクワクしながら伸び伸び考えられるんじゃないかと思います。
自由に会社を伸ばせるボーナスタイムというのがM&Aで会社売却する魅力の1つかなと思います。
うーん、ゲームっぽい^^
オーナー経営者が将来の成長を確信していること自体が魅力
私の好きな話なので楽しんで書いてみましたが、具体的であればあるほど、買収後の会社の成長や規模を想像できますし、本当に説得力のある根拠のある説明ができるはずです。
買い手企業からしても買収対象として、とても魅力的な会社に映るでしょうし、何よりオーナー経営者が大切にしてきた会社なのだな、ということがきっと伝わることと思います。