株式譲渡後の新社長に必要な能力や経歴を整理して買い手企業に伝えよう

「次の経営者ってどんな経歴やスキルの人が良いと思いますか?」

デューデリジェンス(DD)の終盤で、ほぼ買収意思が確定している買い手企業から上記の質問をされました。

確かに、買い手企業としてはこれから買収した会社を成長させるにあたって、現経営者の自分の意見も参考にしたくなるはずなので、おそらく多くの売り手企業の経営者は買い手企業から同様の質問をされると思います。

創業して育ててきた会社にはこれからも成長してほしいですし、買い手企業が間違ったところに重点をおいてしまい新経営者選びを失敗しないように、しっかりと答えたい質問です。

目次

売却後の新経営者に必要とされる条件とは

新経営者に必要とされる条件については、複数の条件の中から必要条件を抜き出して伝えるべきだと思いました。

新経営者の必要条件について

・事業を引き継いで、継続できるだけでの最低限の経験値とスキルのバランスを持っていること

買収時の会社の状況を素早く把握し、現在の業績を最低でも継続できる能力です。例えば、同業経験があることがなどがそれにあたります。ある意味守りの条件ともいます。

・中長期的な目標に基づいて、意思決定と行動ができること

買収後の会社の成長に向けて、足元の業績だけでなく、中長期的に成長させる手を打てる能力が必要です。先ほどの守りの条件に対して、こちらは攻めの条件といえます。

これは会社の状況によって異なりますので、会社によっては事業統合(PMI)の経験かもしれませんし、会社の営業力を伸ばすスキルかもしれませんし、事業再生の経験かもしれません。

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逆に、あればなお良いような、十分条件がたくさんあって、一見魅力的に見えるけれども、必要条件を満たしていない場合は、対象外になりますので、まどわされないことが必要だといえます。

何でもできるオールラウンダーの方であれば、言う事ないのですが、なかなかそうもいきません。自社にとって何が必要条件かを正確に伝えることが必要です。

買い手企業にはこう答えた

過去、製造小売の会社を売却する際、買い手企業からの「次の経営者ってどんな経歴やスキルの人が良いと思いますか?」という質問に対して、

「製造小売の経営経験がある方」

と回答しました。

やはりこの製造小売という業種ならではの経験は、他の経験とは代替しにくいものだと考えていました。私の会社にとってはこれが必要条件だと思います。製造小売の経営経験者というのはそこまで多くないため、買い手企業にとっては経営者探しに苦労するかと思いましたがそのように伝えました。

必要条件が満たされていないと苦労する

実際に買い手企業は、経歴が華やかでスキル豊富な方を新経営者として迎えいれることになりましたが、必要条件として伝えた「製造小売の経営経験」が充分ではありませんでした。

そのため、売却後の経営タスクの引き継ぎなどが手間取ってしまい、事業統合(PMI)に苦労することになりました。

現在はうまくいっているので一安心ですが、やはり十分条件にまどわされず、必要条件を遠慮することなく伝えたほうが、みんなが苦労するという教訓になりました。

自分の次はどんな経営者が向いているか事前に考えておく

このように、買い手企業からは、新経営者の採用について相談がきますので、事前に会社の状況を踏まえた、新経営者の必要条件について深くシミュレーションしておく必要があります。

もしかしたら、新経営者の採用時の面談に部分的に参加しても良かったかなと思っています。

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