会社売却すると会社はどうなるの?よくある4つの形態とは(子会社化、吸収合併など)

私がM&Aで会社売却に着手する前は、売却した会社は、買収してくれた買い手企業の子会社になるのだと思っていました。

しかし、複数の買い手企業からの提案を聞いていくうち、子会社化は1つの方法でしかなく、どうやら4つのパターンがあるのだとわかってきました。

知らなくても手続きは進んでいきますが、この内容を知っていると、買い手企業からの提案の意図をより理解したり、会社売却のより良い選択ができるように思います。

目次

パターン① 買収後、会社はそのまま

買収した会社が、業界シェアがあり、すでに知名度やブランドや継続した売上がある場合、そのまま残しておいたほうがメリットが大きい場合は、企業をそのまま残すことがあります。

従業員のモチベーションを維持しやすいというメリットもあります。

私の経験でもある程度、総資産・純資産が大きくなっていましたので、子会社化というよりは買い手企業との相互の株の持ち合いにして買収する提案をしてくれた買い手企業もありました。

買収した会社をそのままにするデメリットは、買い手企業と重複する部門を統合しないのでコスト削減効果や、その分のシナジー効果を得にくいようです。

パターン② 買収後、買い手企業の子会社化

買収した会社が、業界シェアがあり、すでに知名度やブランドや継続した売上がある場合、子会社化して経営を継続するメリットがあります。

子会社化することで連結決算で税務上のメリットや、親子で経営資源の再分配がしやすいとか、親会社が子会社のリスクを持たずに済むメリットもあります。

デメリットは、経営がその分複雑になったり、やや経営コストが上がる点がありますが、買い手企業はそれを許容して提案をしてくれていると思います。

パターン③ 買収後、吸収合併

買収した会社を吸収合併するメリットは、一番は経営資源の統合で、コストダウンを含む、生産性の向上やシナジー効果だと思います。

売り手企業としては、一番心理的抵抗が大きい提案と思いますが、客観的に言えば、成長の可能性が最も高いのもこの方法かなとも理解できますので、買い手企業の経営者が真剣でないとこの提案は出てこないと思います。

デメリットは、顧客離れや、ビジネスモデルやシステム統合のコストの高さがあるのと、法的リスクも一体化してしまう点があります。

パターン④ SPCを設置して子会社化または統合

私自身も初めての知識や経験で、実際の売却した結果は、SPC(Special Purpose Company、特別目的会社)の設立による子会社化でした。

M&Aで売却するテクニカルとして、買収目的の会社SPCを新規に設立し、SPCが融資を受けて買収するという方法が存在します。

SPCを活用することで、M&A完了までのリスク管理や、買収資金の調達、財務の最適化、税制優遇措置の最大限の活用などメリットが得られるので、とてもスマートな方法だと言えます。

買収目的により、会社売却後の最適な形態は違う

他にもパターンはあるのかもしれませんが、私が提案を受けたのはこの4パターンでした。
その後、気になってどういうメリットや意図があるのかを調べて私なりに把握したのが上記の内容です。

それぞれにメリットや負担があり、どの提案も買収後のあり方を真剣に考えてくれていたのだとわかります。

中には「どれがいいか希望はありますか?」と聞いてくれた提案もあり、多少の融通も利くのかとちょっとびっくりしたのを覚えています。


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