M&Aの会社売却において、基本合意後は売上と利益を絶対に下げないようにする

私の経験でも過去の会社売却はとてもうまく行ったほうだと自己評価をしています。
なぜかというと、M&Aのプロセスが始まってからも会社の売上は引き続き伸びていたからです。

特に問題になることはなかったのですが、オーナー経営者として特に注意を払っていたことがありました。
とても重要なことなのでこれも書き残しておきたいと思っています。

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基本合意後は、売上と利益を絶対に下げない

どんなことに注意したか。
それは「基本合意をしたらそれ以降は絶対に売上を落とさない」ということでした。

買い手企業は、売り手企業に対して「これからも業績が伸びる」と判断できるからこそ、買収に向けて条件を提示し、名乗りを上げています。

もし、その売却と買収に向けた基本合意をした後に、売上や利益が下がってしまうと「業績は伸びるんじゃなかったの?」と買収をするための根拠が大きく揺らいでしまうことになります。

たぶんM&A仲介会社さんもあえてここを言わないと思いますが、とても重要です。

基本合意後に売上や利益が下がるといろいろ問題が出てくる

基本合意後に売上や利益が下がると、最悪の場合、ディールが流れることになります。

話が進んだとしても、せっかくここまで会社売却の準備を進めてきたにもかかわらず、最終的な買収価格の下方修正が入ることも考えられます。

売り手企業・買い手企業ともにお互いに心情的にも不安の残る、気まずいM&Aになると言えます。

基本合意後に売上や利益が下がる場合は正当な理由を用意しておく

基本合意後に、どうしても売上や利益が下がる場合は、ちゃんと「問題ない」と説明できるだけの理由を用意するべきだと思います。

たとえば、「どうしても請求書が締め日までに立てられず、月内や四半期内に売上計上はできなかったけれど、すでに納品は終わっていて請求書も立っているので問題ない」などです。

基本合意後はデューデリジェンス(DD)期間中でもありますし、普段の経営も続いているので、忙しくつい後回ししてしまうかもしれませんが、売上や利益が下がったときは、買い手に対して、優先的に繊細なケアが必要です。

逆に、基本合意後に売上や利益が伸びるとほとんどの問題がなくなる

基本合意後の売上減少や利益減少が、それだけ問題になるということは、逆に言えば基本合意後に売上や利益が伸びていれば、買い手企業からすれば本当に買収のメリットが増えますので、仮にデューデリジェンス(DD)に課題が残っていたとしても、本来の課題よりも小さくなったり、あるいは気持ちも軽く解消することができるようになります。

虚偽の報告や、売上の期ズレなどは絶対にダメですが、年間を通じての計画的な売上の配分や魅力的な見せ方は、よりよいM&A成立のために有効な手段の範囲かなと思っています。
もっと言えば、「売上伸びそう!」とか「売上を下げずに済みそうだぞ」というタイミングが基本合意をする最適なタイミングと言えそうです。

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