買い手企業との交渉において、単に会社の売却価格だけでなく、売却後の従業員の待遇や企業文化の維持についても希望条件を提示することができます。
下記などは、一般的にM&A仲介会社さんがとりまとめてくれる内容です。
従業員の解雇をしないこと
まずは従業員の解雇をしないことを希望条件にしました。創業から一緒に苦楽をともにした従業員を大切にしてもらいたいということはもちろんのこと、従業員のスキルや経験が会社の成長に寄与しているため、売却後の経営の安定性を維持するためにも必要だと考えました。
これについては買い手企業の意見も同様でしたので、意思を尊重してくれました。
従業員の給与を維持すること
次に、従業員の給料の維持も希望条件として挙げました。株式譲渡後に給料が減少することは、従業員のモチベーション低下や離職を招く恐れがあります。この条件により、従業員に安心して働いてもらい、経営統合(PMI)のハレーションをふせぐ意図がありました。
こちらは、買い手企業はむしろ就業規則の見直しも含めて待遇を改善してくれたので、従業員は大変満足していると思います。
企業文化を維持すること
希望条件とまではしませんでしたが、企業文化の継続についても話題にあげました。比較的カジュアルな業界だったため、社風や服装は自由で、社員がのびのびと仕事ができるように努めていました。また、リーディングカンパニーとして業界の文化醸成を意識し、楽しい業界や楽しいサービスであることを顧客にもイメージしてもらうために、会社の雰囲気だけでなく、明るいイメージのロゴやブランド作りにも力を入れていました。
幸いにも、買い手企業が業界や当社の雰囲気を気に入ってくれていたため、売却後も企業文化は継続されています。
売却価格以外の条件も大切に
このように会社の価値は単に財務面だけでなく、従業員や企業文化、ブランドなども大切な価値になります。
経験上、それらの価値が売却価格に上乗せされるかどうかとは別で、育ててきた価値を維持してもらうことを売却の希望条件にすることも大事だと思います。