M&A で最終合意に至るまでに決定すべき、最も重要な要素の一つが譲渡金額です。
私も当時とてもドキドキしましたが、売り手企業としては最終合意案で提示される譲渡金額に納得できるかどうかがすべて、と言っても良いくらいでしょう。
減点方式で譲渡金額が下がるケースは多い
意向表明や基本合意で一旦提示されているものの、デューデリジェンス(DD)中に次のような問題が発覚するなどして、ブレイクにならずとも、譲渡金額の値下げが提示されるケースもけっこうあるようです。
- 表明保証した内容が事実ではなかった(主に表明した内容より下回っていた
- 不適切な経理処理や、重大なコンプライアンス違反があった
- 事業の根幹となる重要な契約や書類がなかった
- その他、表明保証以外の大きな問題があった、等々
支払い方法で現金一括以外の提案もある
私の経験ではありませんでしたが、譲渡金額の支払い方法について条件が付くこともあるようです(意向表明までに条件の提示があってそれが具体的になるニュアンスです)。
具体的には、一括での支払いのほか、段階的な譲渡と共に分割での支払い、買い手企業やグループ会社の株式で支払いたいという提案など。
その方法しか買収を実現できない、という提案もあれば、できればそうさせてほしい、くらいの温度感のこともあるようです。
要望はM&A仲介会社を経由して調整してもらう
売り手企業と買い手企業の間で、最終合意案を何往復もさせて詰めていきますので、もし売り手企業からの要望がある場合も、M&A仲介会社さん経由で調整してもらうと柔らかく進みやすくなります。
M&A仲介会社さんもディールを成立させたいと強く願っている立場です。
売り手企業の無理を通すことは厳しいかもしれませんが、ここはしっかりと自社の要望を伝え、エージェントとしての仕事をしてもらうところだと思います。
私の経験ではありませんでしたが、ディールを成立させるため、M&A仲介会社さんから売り手企業が説得をされてしまうというケースもあるようです(個人的にはこれはあまり納得できません)。
譲渡金額に納得できないときは断れる
私の経験でも、M&A仲介会社の担当さんから「意向表明から下回る譲渡金額の提案が来たときはどうされますか?」という質問があり、「そうなったら残念ですがブレイクでお願いします」と伝えたことが一度だけありました。
タイミング的にも業績が更に伸びていて、こちらの余裕があったというのもあります。
デューデリジェンス(DD)でも問題はなかったですが、もしかすると買い手企業さんとM&A仲介会社さんのところで「できたら金額を下げたいのですが……」というやりとりがあったのかもしれません。
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実際に買い手企業との価格の折り合いがつかないこともあると思いますので、ご自身のケースでご判断いただければと思います。