M&Aにおける株式譲渡契約にはクロージング条項という項目が設定されます。
クロージング条項とは「デューデリジェンス(DD)を経て判明した、買い手企業からの売り手企業に求められる買収に必要な最低限の要望」です。
言い換えれば、「クロージング条項を解決してくれないなら買収しないゾ!」というレベルの重要な条件になります。
クロージング条項はどれくらい重要?
クロージング条項が確定するのは「株式譲渡契約が締結されたとき」になりますので、売り手企業・買い手企業双方に重大な契約の履行義務が発生します。
ですので、クロージング条項は100%履行するべきものです。
契約内容によってはペナルティがある場合もあります。
クロージング条項の例外はある?
相手方が書面によってクロージング条項の各個別項目について放棄することができますので、相手方が放棄した項目は達成しなくてもよくなります。
しかしその場合は、買収意思はあるので仕方なく目を瞑ってくれたとか、よほどのケースだと思います。
クロージング条項はいつまでに達成すればよい?
クロージング条項は、株式譲渡実行日前日までには「すべて」完了している必要があります。
むしろ、クロージング条項をすべて達成してから、改めて譲渡実行日が設定されることのほうが多いかもしれません。それくらいクロージング条項の達成が優先されます。
クロージング条項は具体的にどんな条件?
以下は、クロージング条項の例です。
- 株式譲渡契約までに開示した情報すべてについて表明保証をすること
- 譲渡実行日までに株式譲渡契約に違反しないこと
- デューデリジェンス(DD)で判明した不足している重要書類の提出
- 元経営者のロックアップ期間以降の経営委任契約書や業務委託契約書の提出
- 売り手企業の従業員が譲渡実行日までに◯名以上退職しないこと
- 買い手企業が指定した重要な役員、重要な従業員、重要な取引先などに関係性の継続の同意を得ること、等々
クロージング条項は交渉できる?
交渉は可能だとは思いますが「これらが達成されないと買収しない」という条件なので、交渉する意味はあまりなさそうです。
もし提示されたクロージング条項で達成が難しそうな項目があれば、株式譲渡契約を締結する前に、M&A仲介会社の担当者さんを通じてどうしたらよいかを協議するのが良いでしょう。
逆に、私の経験ではクロージング条項とは少し違うかもしれませんが、買収資金として銀行融資を活用するというM&Aでしたので、株式譲渡契約を締結するに当たって「銀行の融資証明(必ず融資しますよ、という銀行の書類)」の添付をお願いしました。
株式譲渡契約もいよいよ大詰め
M&A仲介会社さん選びから、トップ面談、デューデリジェンス(DD)を経て、ここまでたどり着いたので、繰り返しになりますがこの時点で残っているクロージング条項は、M&Aの運命を左右する重要なものばかりです。
とても気を遣うところですが、1つずつ丁寧に完了してしてもえらえればと思います。