退職金の活用で会社売却で手残り約300万円多くする方法

これ、株式譲渡のプロセス前に知っていたら売却金に上乗せできたかも…涙

会社売却価格を、全額株式譲渡で受け取るのではなく、その一部を退職金で受け取ると、手取り額が多くなります!!

目次

会社売却価格の一部を退職金で受け取ると手残りが約300万円増える

例えば、会社売却価格が2億円とした場合、一部を退職金にすることで、勤続21年で約300万円。勤続6年でも約170万円程度手残りが増えます。
(最後に計算式のメモを載せておきます)

退職金は現物支給でも受け取れる

例えば、使用してきた社用車や社宅などを、改めて買い取るのではなく退職金として受け取ることができます。

会社名義の車や不動産(土地を除く)を退職金として現物支給する場合、売買のように消費税や印紙税がかかりません。これにより、売買よりも有利に資産を引き継ぐことができます。

買い手企業にも約900万円分のメリットがある

退職金の活用は、買い手企業にもメリットがあります。

約900万円分の節税効果がある

例えば、株式譲渡額2億円のうち3,000万円を買収した会社の退職金として支払う場合、法人税率を約30%と仮定すると買い手企業は約900万円の節税効果を得ることができます。

買収資金を抑えられる

買収資金ではなく、買収した会社の現金を使って退職金を支払うので、買い手企業からの実質的な支出を抑えられます。

会社売却価格の上乗せ交渉ができるかも!?

買い手企業の節税効果等のメリットを考ると、売り手は「退職金分の会社売却価格の上乗せ」を交渉することも可能かもしれません。
例えば、上記の例で買い手企業は約900万円の節税効果を得ることができるため、追加で500万円の会社売却価格上乗せを要求しても、買い手企業にとっては実質的な買収コスト増にならないとも言えますね!

このように退職金の活用は、売り手・買い手双方にメリットがある手法なので株式譲渡のプロセスの前にはぜひとも考慮に入れましょう!

僕も、株式譲渡のプロセス前に知っていたらな〜涙

※  ※  ※

以下は参考の計算式となりますので必要な方は読んでみてください。

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(参考)株式譲渡額と退職金の計算式

株式譲渡額には、金融所得税20.315%(所得税15.315%+住民税5%)がかかります。
一方、退職金は、退職金そのものには課税されず、所得控除や2分の1課税(勤続年数5年以上)された後の金額に課税されるため、支払う税金が下がります。

株式譲渡額2億円のケースで、「全額を株式譲渡で受け取る場合」と「一部を退職金3,000万円1として受け取る場合(今回は勤続年数は21年とします2)」を比較してみます。

■株式譲渡額2億円をそのまま受け取る場合

金融所得課税額 = 2億円(株式譲渡額) × 20.315%(所得税15.315%+住民税5%)= 4,063万円

手取り額 = 2億円(株式譲渡額) – 4,063万円(金融所得課税額) = 1億5,937万円

■株式譲渡額2億円のうち3,000万円を退職金として受け取る場合

1) 株式譲渡額 1億7,000万円の税金の計算:

金融所得課税額 = 1億7,000万円 ×20.315%(所得税15.315%+住民税5%) = 3,453万円

2) 退職金分3,000万円の税金の計算
この3,000万円に対して課税されずに控除されます!

退職所得控除額 = 870万円
課税退職所得金額 = (3,000万円 – 870万円) × 1/2(退職所得の2分の1課税) = 1,065万円
控除後のこの1,065万円に対して課税されます。ありがたい!

課税退職所得金額1,065万円への課税 = 約198万円(退職所得税) 3 + 約106万円(住民税)4 + 約4万円(復興税)5= 約308万円

手取り額 = 1.7億円(株式譲渡額) – 約3,453万円(金融所得課税額) + 3,000万円(退職金) – 約308万円(課税退職所得金額への課税) = 約1億6,238万円

「株式譲渡額の一部を退職金3,000万円として受け取る場合」の方が約301万円手取りが増えます!

※  ※  ※

  1. 役員退職金の金額設定には、一般的に功績倍率法が用いられます。例:退職時の月額報酬×勤続年数×功績倍率(代表取締役の場合3.0~3.4程度)以内。 ↩︎
  2. 勤続年数20年以下の場合 40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合には80万円)
    勤続年数20年超の場合 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)国税庁HP:退職金と税 ↩︎
  3. 令和6年分所得税率として、課税退職所得金額が9,000,000円から17,999,000円までの場合、所得税率33%、 控除額1,536,000円。退職所得は分離課税。国税庁HP:退職金と税 ↩︎
  4. 住民税の税率は都道府県民税の4%と市区町村民税の6%で計10%国税庁HP:退職金と税 ↩︎
  5. 復興税の税率は退職所得税額 に対して2.1%国税庁HP:退職金と税 ↩︎
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