M&A仲介会社の仲介手数料について、とても大事なお話を書きます。
M&A仲介会社に支払う仲介手数料は、じつは売り手企業がある程度予習をしていないと、ものすごく高い支払いになっていることがあります。
どれくらい違いがあるかというと、数百万円から数千万円くらい!!
「株価レーマン」と「総資産レーマン」の違い
M&A仲介会社の設定している仲介手数料の方式は、大きく分けて「株価レーマン」と「総資産レーマン」の2種類です。
株価レーマンとは、M&Aでディールが成立した株価に対して、仲介手数料を計算する方法です。
総資産レーマンとは、貸借対照表の総資産に対して、仲介手数料を計算する方法です。総資産レーマンは、黒字の会社であっても運転資金用の銀行借入があればそれも仲介手数料計算の対象にしましょう、ということでおよそ株価レーマンよりも割高になります。
「株価レーマンを採用している会社」と「総資産レーマンを採用している会社」がある
仲介手数料がどのようにして決まるかというと、M&A仲介会社がそれぞれ普段から採用している方式がなにかで事前に決まっています。
ですので「株価レーマンでお願いしたい」という場合は、基本的には株価レーマン方式を採用しているM&A仲介会社を選ぶのがよいでしょう。
仲介手数料は交渉できるし、受けてくれることも
私のケースですが、総資産レーマンのM&A仲介会社の担当者さんと初回の相談をしていた席で「株価に対する仲介手数料じゃないと依頼しない」とお伝えしていたところ、「株価レーマンで受けさせてください」ということになりました。
これは予想されるこちらの株価が大きかったというのもあると思いますが、M&A仲介会社としても「この規模の案件を逃がすくらいなら株価レーマンでも受けたい(ノルマあるし)」というのが本音だったのではないかなと思います。
もちろん、「我が社は総資産レーマンでないとお受けできません」とお断りされるM&A仲介会社もあるでしょう。
赤字企業の株価レーマンは依頼が難しい?
とはいえ、赤字企業・債務超過のM&Aでは株価レーマンでは、赤字が大きければ大きいほど仲介が大変なのに株価はゼロ!ということが起きかねません。
ですので、赤字企業・債務超過の状況では株価レーマンで依頼を受けてくれるM&A仲介会社は少ないと思います。
総資産レーマンでも仲介の質がそこまで高いわけではない(と思う)
総資産レーマンのM&A仲介会社の方々とお話する機会がありますが、割高でも受注できるくらいたいへん優秀な方々だと感じます。
同時に、先ほどの総資産レーマンのM&A仲介会社さんが、株価レーマンで受任してくれた私の例もありますし、また、株価レーマンのM&A仲介会社の質が悪いわけでもないと思います。
これは例えるなら15000円の寿司と45000円の寿司はじゃあ3倍も美味しかったり満足度が違うかというと、そうではないのと同じだと思っています。
基本的に仲介の質の良し悪しは、会社以上に担当者さんの知識や技量によります。
株価レーマンで受けてくれるM&A仲介会社をお勧めしたい
ということで、私の経験談ではありますが、
- 基本的に株価レーマンのM&A仲介会社を探して依頼する
- 依頼したいM&A仲介会社さんが総資産レーマンだったら、株価レーマンで受けてくれるか交渉する
がよいのではないかなと思います。
この業界ルールを知っていると、売り手企業としては選択肢が増えるわけですが、それによって数百万円、数千万円も手残りが違ってくるとしたらやっぱり大きいですよね。