私は普段から社内組織図を作るような経営者でしたが、M&Aのプロセス中にも社内組織図は4回必要になりました。
社内組織図は、第三者に社内の体制を理解してもらうために最適ですし、おそらく必須になる資料だと思いますので、遅くとも会社売却の準備段階では作成しておくことをお勧めします。
「すべて外注で運営しています」というような従業員がいない会社の場合も、外注先との関係図を作成しておくと役立つはずです。
社内組織図で何がわかるか、何を伝えるか
どんな部署が存在しているか、それぞれの規模、各部署間の関係性
部署の数、部署の名前、各部署の人数のほか、各部署間の関係性が分かるようにします。
営業所や部署でオフィスが分かれていたのでそれも記載するようにしました。
それぞれの部署リーダーや責任者が誰か
それぞれの部署のリーダーが誰か分かるようにしておくと、しっかりした組織に見えて安心です。
部署の役割や、問い合わせ先も記載しておくと尚よいと思います。
顧問や外注先など、業務フローに重要な役割を担っている外部も書く
「社内組織図」ではありますが、経理や法務などが顧問の場合などは外部であっても、外部と分かるようにした上で社内組織図に書き入れるようにしました。
中小企業だと、外注先ありきで業務フローが成立していることもよくあります。それも記載するようにしました。
経営者の立ち位置や、経営者と各部門との関係性
社内組織図の中に、経営者がどの位置で、どのように影響を与えているかもM&Aでは重要な情報です。
経営者は、各部署を直接的に監督しているのか、あるいは各部署への関わりは間接的なのか。
M&A仲介会社さんも用意してくれるけどどうにも正確じゃない
M&A案件化する際に、M&A仲介会社さんが作成してくれることもありますが、説明してもM&A仲介会社さんの作成だとおよそ正確な組織図にはならず、微妙なもどかしさや後から説明の手間が増えるように思います。
ということで社内組織図は、自前で作っておいた方が良いでしょう。
M&Aで社内組織図はいつ必要になるか
社内組織図は、私の経験では次のタイミングで使うことになりました。
パワーポイントで作成しつつ、順次更新をおこなうようにしました。
- M&A仲介会社に依頼するに当たって自社を説明するとき
- 企業概要書(IM)の作成するとき
- トップ面談の際、買い手企業に自社を説明するとき
- デューデリジェンス(DD)の資料として提出するとき
社内組織図の作成することでM&Aで期待できること
社内体制という概念的情報を正確に買い手企業にM&A仲介会社に伝えられる
結局のところ社内組織や体制というのは、概念でしかないのでイメージや社員名簿などでしか共有ができません。
経営者が思い描いている理解やイメージを伝えるためにも、社内組織図は最適な伝え方だと言えます。
買い手企業とシナジー効果を探る際の対話の入口になる
社内体制を買い手企業に共有できることで、そこから買収後・合併後のシナジーについても、お互いにシュミレーションができたり、協議ができるようになります。
重視すべきポイント、社内補強すべきポイントなど説明しやすい
買収後・合併後に重視してもらったほうがよい社内のポイントや、どの部署を拡張していけば将来的に業績が伸びそうか等、買い手企業に示すときにも社内組織図を用いて説明しました。
組織改革をする際に役立つ
逆に部署統合や、配置転換、部署間の関係性に変更を加えるときにも、役立つ資料になると言えます。
買い手企業へは社内組織の繊細な引き継ぎが必要
私のケースでも、事業年度とともに従業員の数も増えて、顧問や業務に関わる外注先の人の数を合わせると60人を越えていましたので、社内組織の整備と、社内組織図がなければ、新しく入社した従業員や、新しく加わる関係者は
「自分の立ち位置がわからない」とか
「誰の指示を受けたら良いのかわからない」
「いつも連絡が来る◯◯さんがどういう関係の人かわからない」ということになっていたと思います。
買い手企業へは、さらに繊細な伝達や引き継ぎをすることになりますので、社内組織図の整備は、私自身もM&Aプロセスの中でも、けっこう気をつかった部分でした。