「この銀行との融資契約の連帯保証が自分になっているのは、確実に外してもらわないとな」
僕が結んだ株式譲渡契約書には、連帯保証の変更についての取り決めはありませんでした。
各取引先と結んできた契約の主体は法人名でも、連帯保証や保証人の名前は、基本的に代表取締役である自分の名前になっており、これを新経営者の名前に変更する必要があります。
ここが漏れてしまうと、自分が連帯保証人である状態が継続してしまいます。
今後、この取り決めは株式譲渡契約で必須の項目になってくると思います。
デューデリジェンス(DD)の資料として、買い手企業と共有しているが変更の取り決めはしていなかった
基本的には、買い手企業としても、連帯保証や保証人の変更の必要を認識してくれているので、開示依頼があるはずです。
僕の場合も、契約書一覧はデューデリジェンス(DD)の法務チェックの資料の1つとしてGoogleドライブで共有していましたが、どのように変更するか株式譲渡契約で取り決めをしていませんでした。
連帯保証人の取り決めがないことは大きなリスクになる
最近(2024年5月3日)にこんなニュースがありました。
悪意のある買い手企業が、連帯保証人を変更せずに売り手企業の社長の保証のまま、会社のわずかに残っていた現金や資産を持ち逃げして連絡を絶った事件です。
このように、連帯保証や保証人の変更がおこなわれず、契約書が放置されると、大きなリスクを負うことを認識しておく必要があります。
リストを作成し、変更の期限を取り決める
前述のような事件がありますし、連帯保証人になっている契約書リストを作成し、それぞれ保証人の変更の期限と、変更されなかった場合の責任、などの取り決めが必要でしょう。
可能であればM&A仲介会社にも責任を持ってもらうために、書面を交わしてもらえると、なお良いと思います。
貸し借り関連の契約書以外も要確認
連帯保証や保証人となっている契約は、貸し借り関連の契約書だけではありません。賃貸契約やシステム利用契約など、意外と多岐にわたります。
そのため、僕自身、各取引先と結んできた契約書で自分が連帯保証人になっていないかチェックする必要がありました。
面倒ではありますが、リスクを考えると確認して良かったと思います。
実際に、連帯保証人の変更が延長した
一般的に、買い手企業との株式譲渡契約が完了後、引き継ぎ期間に新経営者へ連帯保証や保証人の変更手続きを行います。
僕の場合、株式譲渡完了後、自分に法的責任が生じる書類関連を新経営者に引き継ぐ期間を3ヶ月とし、作成した契約書リスト一覧にそって連帯保証や保証人名を変更してもらう約束でした(株式譲渡解約で取り決めはしていませんでした)
しかし買い手企業の新社長の決定が遅れたため、改めて協議の場を設けてもらい連帯保証人が変更されていない状況への改善を強く要請して優先して取り組んでもらうということがありました。
株式譲渡契約書にない場合は、取り決めることを提案する
連帯保証や保証人に自分の名前が記載されているうちは、自分の法的責任が継続しています。
僕の場合は、株式譲渡の取り決めはないものの、買い手企業も新経営者の方も協力的でしたので、問題は発生しませんでした。
しかし、これから株式譲渡する方は株式譲渡契約書にない場合は、取り決めていくことをおすすめします。