地位譲渡不可の契約がないか確認して対策しておこう

「新社長と、ご挨拶に参りましたー!」

売却完了後の引き継ぎ期間に、菓子折りをもって主要仕入先の社長に挨拶に行きました。
新社長とともに契約書の地位譲渡の承認のお願いをするのが目的です。

目次

M&Aにおける契約書の地位譲渡とは

地位譲渡とは、契約の地位を第三者に譲渡することをいいます。

M&Aにおける契約の地位譲渡とは、株式譲渡後に代表取締役の自分の名義で結んでいる取引先との法人同士の契約書の地位を、次の代表取締役に譲渡し、契約を存続させたり引き継ぐことを指します。

M&A開始前に、各契約書の中に地位譲渡の条項があるか確認しておく

売り手企業は、M&Aプロセスの前に、契約書の中に地位譲渡の条項があるか確認しておく必要があります。

確認をしていない場合、売却後すみやかな地位譲渡がおこないにくく、契約に関わる対象としてリスクがある状態が残ってしまいます。

また契約書で、地位譲渡についてどのように締結しているかによって、こちらが取るべき対応が変わります。

地位譲渡が可能になっている場合は、契約相手方に承認をもらい、契約書を巻きなおせば問題ありませんが、地位譲渡が不可になっている場合、もしくは条件付きで可能となっている場合にはそれぞれ手続きが必要になります。

これら対応の準備をするためにも、事前に地位譲渡の条項が有る場合はその締結内容も確認しておく必要があるのです。

条件付きで地位譲渡が可能な場合の対応

契約によっては、一定の条件を満たすことで地位譲渡が可能な場合があります。

その場合は、条件を満たして相手方の承認を得る必要があります。承認を得るためには、新経営者とともに直接挨拶に伺うなど、誠意を持って対応することが大切です。契約相手にとって、新しい代表取締役に変わるということはリスクである。と感じてしまう場合があるため信頼を損なわないようにしましょう。

僕も冒頭のように、主要仕入先の社長に対して、菓子折りをもって新経営者と一緒にご挨拶と地位譲渡承認のお願いに伺いました。

地位譲渡不可の場合の対応

地位譲渡が不可能な契約がある場合は、買い手企業に伝える必要があります。その上で、新経営者に新規で申し込みをしてもらうことになります。

実際、新規での申し込みとなるため書類申請や与信などで時間がかかりました。そのため、前もって買い手企業に伝えてあげられた方がよいでしょう。

地位譲渡の相手となる新経営者の就任時期が影響する

契約書の地位の譲渡を引き継ぐためには、譲渡相手となる新経営者がいつ就任するかが影響します。

新経営者が決まらないと、いつまでも地位譲渡ができません。

そのため、引き継ぎ期間終了までに、契約書の地位譲渡も引き継ぐために、新経営者の就任時期について事前に買い手企業に対して、交渉しても良いかもしれません。

無事に新経営者が決まったあと、各取引先に新経営者とともに伺い、契約書の引き継ぎとともに、関係性も引き継いでいきました。

※ ※ ※

このように、各契約書のなかに、地位譲渡の条項があるかを確認すること、ある場合はどのような締結をしているかを確認することで、前もって対応の準備をすることができます。M&A開始前に確認を進めておきましょう。

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