株式譲渡後に新経営者に引き継ぐ「経営者の役割・業務一覧」を作成しておく

「M&A仲介会社の方から事前に聞いていたより経営者の負担が多そうですね……」

会社売却後に自分が経営者から退任することを踏まえて、経営者である自分が担っている社内の役割や業務内容は引き継ぎできるようにリスト化しておく必要があります。

この 「経営者の役割・業務一覧」 は、新経営者の負担を判断する材料になるので、買い手企業候補にとっては非常に重要な情報です。

そして、僕がこの 「経営者の役割・業務一覧」を提示したところ、買い手企業候補から冒頭のリアクションをされてしまったのでした。

(えっ、買収後の負担が大きいと感じさせちゃった??)と、とてもドキドキしたのを覚えています。

目次

役割・業務の整理の仕方と伝え方で印象が変わる

原因は僕が良かれと思って 「経営者の役割・業務一覧」をできるだけ丁寧に詳細に書いてしまっていたことでした。

それが裏目に出てしまい、どうにも見かけの量が多い「経営者の役割・業務一覧」になってしまっていました。
その結果、買い手企業候補に「想像よりも買収後の新経営者の負担が大きい」と思わせてしまうことになりました。

そこで、僕はあわてて、情報の整理の仕方や伝え方を改善するようにしました。

経営者の役割・業務と、現場や管理職でもできる役割・業務を分ける

上記の教訓から、自分の役割や業務を引き継ぐ情報を整理する際に、
明らかに経営者が担うべき業務項目 と、
・(現状は自分がやっているけど)業務的には、現場や管理職にて対応可能な業務項目
明確に区分けするようにしました。

そして、現場や管理職が担える業務は、新経営者ではなく現場や管理職が担当できるようにオペレーションを変えていくようにしました。

この区分けにより、新経営者の実際の負担を軽減することを意図しました。

M&A仲介会社に意図を共有して、買い手企業に適切に伝えてもらう

工夫して再度作成した「経営者の役割・業務一覧」を、M&A仲介会社に見せて相談し、買い手企業にどのように伝えてもらうか検討しました。

その結果、
「昇給の決定や、株主総会の開催など、明らかに経営者がやるような業務項目は削除しましょう」ということになり、さらに買収後の新経営者の負担が小さい見せ方、伝え方をしてもらえることになりました。

買い手企業候補と直接接触しているM&A仲介会社に資料の意図を伝え、シュミレーションしたことで、効果的な情報提供ができるようになりました。

実際に売却時の経営者の業務時間はどれくらいだと理想的か?

これは僕の個人的意見ですが、売却時の経営者が業務をしている時間は、週4時間程度に収まっているのが理想的だと思います。

これは、「今の業績をキープするのであれば、経営者の業務はこの時間で充分である」という意味です。
また、それほどまでに「会社をM&A案件としてパッケージ化できている」という意味でもあります。

この程度の時間であれば、買い手企業候補に、新経営者の負担も小さいと判断され、残りの時間を、業績を伸ばす時間に当てようと考えてもらうことができます。

* * *

今回の教訓で、会社売却の準備というのは情報を準備するだけでなく、どう伝えるか?の戦略的準備も大切であると実感しました。

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