デューデリジェンス(DD)を予習的に知っておく
会社売却の準備をするに当たって、デューデリジェンス(DD)を予習して知っておくことでM&Aが少し有利になると思います。
私が初めてM&Aの会社売却に挑戦したとき、デューデリジェンス(DD)という存在を知りませんでした。
一体何をするのか、どれくらい大変なのか、どれくらい重要なのか、など予習することなく「ここまで上手く行っている会社なのだし、必要になってから準備すればいいや」と軽く考えていて、これが失敗でした。
まさかデューデリジェンス(DD)のタスクボリュームがこれほどまで多いとは思ってもいなかったからです。
備えておけばよかった、というのが当時の印象でした。
デューデリジェンス（DD）を予習しておいたほうが良い理由
デューデリジェンス(DD)を予習しておいたほうがよい理由をひとことで言えば「会社売却を成功させる確率を上げるため」です。
会社を成長させるフェーズの経営者の大変さを除けば、M&Aで会社売却に挑戦するときの大変さは、
- 運や御縁も絡むトップ面談や基本合意まで
- デューデリジェンス(DD)
- 引き継ぎからPMI、ロックアップ期間を終えて会社を抜けるまで
それぞれが同じくらいの重要さで、大変さだと思います。
しかし、デューデリジェンス(DD)への準備は、M&Aプロセス中に発生するすべてのフェーズに有効です。
準備しておくことで、全体的に関係者の負担が減り、結果的にM&Aをテンポ良く進められるようになります。
デューデリジェンス(DD)では何をするのか 本来の目的
デューデリジェンス(DD)は、買い手企業が、買収対象の会社の状況を確認し、
- 会社は買収後も成長しそうか
- 簿外資産など、決算書と実態の乖離はないか
- これまでヒアリングや報告されてきた内容に虚偽がないか
- 訴訟リスクはないか
- 最終的に、本当に買収してよいか
- 最終的に、買収価格は適切か
などなどを買い手企業が総合的に判断します。
デューデリジェンスの種類
主要な、法務デューデリジェンス、財務デューデリジェンスに加えて、
ビジネスデューデリジェンス、税務デューデリジェンス、人事デューデリジェンス、ITデューデリジェンス、環境デューデリジェンスの観点でチェックします。
各デューデリジェンス(DD)についてくわしく知りたい方は、ネットにたくさん情報が出ているので読んでみてください。
デューデリジェンス(DD)はいつする？
デューデリジェンス(DD)は、買い手企業から「この条件で買収したい」という意向表明書をもらって、売り手企業が「御社の条件で御社と株式譲渡の交渉を始めます」という意向表明請書（いこうひょうめいうけしょ）を返した後、基本合意の締結後に始まります。
意向表明請書を返すと、そこからは独占交渉となりますので、デューデリジェンス（DD）のスケジュールが組まれたり、確認リストの作成となります。
デューデリジェンス(DD)の責任者は自分
売り手企業側の責任者は、オーナー経営者である自分です。
オーナー経営者が複数いる場合は、連帯となりますが、誰かが責任者を代表することもあります。
基本合意は、売り手企業と買い手企業との間で結ばれるのですが、その中に表明保証という項目がありまして、開示するデータや資料は事実であるという責任を責任者が負います。
デューデリジェンス(DD)にかかる期間やボリューム
デューデリジェンス(DD)にかかる期間は標準的に、数週間〜1ヶ月前後で、長ければ3ヶ月程度かかるM&A案件もあります。
◯基本的に小さな企業ほど短く、大きな企業ほど長くなる傾向があります。
◯調剤薬局のようにビジネスモデルが一定の業種だとデューデリジェンス(DD)は小さくなる傾向があり、特殊性や独創性の高い事業の会社はデューデリジェンス(DD)も複雑になると言えます。
◯買い手企業がファンド系の場合、デューデリジェンス(DD)は株式上場審査に匹敵するほど、しっかりしたものになることが多いようです。
デューデリジェンス(DD)は買い手企業も売り手企業もコストがかかる
昨今では、デューデリジェンス(DD)は、専門家にアウトソーシングされることも増えています。
デューデリジェンス(DD)は、自社で実施するにしても、アウトソーシングするにしても、買い手企業からすれば、やればやるほどコストのかかる話です。
ですので、たくさんのデューデリジェンス(DD)があるということは、それだけ重要視されている会社、それだけコストをかけても価値がある会社だと高く評価されているのだと捉えても良いと思います。
デューデリジェンス(DD)はコストがかかるものですが予習し、準備しておくということで、その分だけコストダウンに繋がります（とはいえ、譲渡対象の会社経費で処理することが多いですが）。
デューデリジェンス(DD)を予習しておこう
以上が、会社売却でおこなうことになるデューデリジェンス(DD)の概略です。
会社売却の検討を始める段階で、デューデリジェンス(DD)というものがあるんだと知っておいてもらえればと思います。
M&A株式譲渡日記には、相談フォームが用意されていますので、会社売却を検討していて「もっと掘り下げて知りたい」という方はそちらでも聞いてみてください。