例えば、不動産の売り出し情報がSUUMOに掲載されるように、
どーんと自社の売り出し情報が媒体に掲載されて、
それを見た取引先さんから
「田舎FIREさん、会社を売りに出されたんですか?」
なんて言われたらと恐ろしい想像をしていました。
そんなことあるわけない!と否定しながらも、
奥多摩がヒュン!となるくらいびびってました
FIRE後に知り合った株式譲渡ニキたちに聞いても
初めての売り出しのときは、
同じく奥多摩がヒュン!だったそうです(ですよねー)
でも安心してください。
売却が完了してみると、
情報が開示されていく段階が、
けっこう丁寧に設定されているのと、
会社売却を成立させたいM&A仲介会社としても、
情報漏洩があるとM&A案件が止まってしまうので、
最新の注意を払っている様子でした。
この記事では、
私が体験したM&Aで会社の売り出し情報が、
どのように安全に出回っていくのかを解説していきます。
自社の売り出し情報が買い手市場にどの様に出回るか
自社の売り出し情報の出回り方は大枠以下の3つです。
1.M&A仲介会社による買い手企業の紹介
一般的なM&A仲介会社の営業方法で企業概要書(IM)が広まる
2.M&Aのマッチングサイトへの掲載
情報が一般公開される形に近い
3.知り合いを通じた買い手企業の紹介
ひそひそで伝わる
この記事では私が経験した
1.「M&A仲介会社による買い手企業の紹介」について説明します。
自社の売り出し情報が公開されるといっても、
「田舎FIREさんの会社が売りに出たぞ!」と、
いきなり世間一般に情報がでていくわけではありません。
ちゃんと節度や段階というものがありまして、
まずは、M&A仲介会社の社員さんに限定して公開されます。
M&A仲介会社の社員さんが、
「担当している買い手企業に、良い買収案件として提案できる!」
と思うと私の了解を得た後に、買い手企業への情報公開が始まります。
最初は、社名は匿名の企業概要が分かる、
企業概要書(IM)という資料の共有から始まります。
これがM&A仲介会社に依頼した場合の、
自社の売り出し情報が買い手候補群に出回った瞬間です。
買い手企業へはどの様に伝わるのか
買い手候補先が一覧リストになっている、
アタックリストと呼ばれる資料がM&A仲介会社から提出されます。
「えっ、この有名企業が自分の会社買う可能性あるの!?」
「どんな理由で自分の会社の買収に興味を持ちそうなの!?」
といった具合に、
M&A仲介会社とアタックリストを見ながら、
どの買い手企業に提案を持っていくか相談します。
私のケースでは、取引先企業、競合企業への提案は、
情報漏洩を懸念してNGにしました。
企業概要書(IM)を見た買い手企業が買収に興味を持つと、
買い手企業とM&A仲介会社の間でNDAを結んだ上で、
社名を含む自社情報が先方に伝わり検討が始まります。
買い手企業から自社に質問が!買い手企業の意外な評価に癒される?
買収に前向きな会社が出てくると、
買い手企業が検討を進めるために、
踏み込んだ質問をしてきます。
端的に言えば、
「創業社長のあなたがいなくなって、私がこの会社のオーナーになった後も、この会社は成長していけますかね!?」
という内容がほとんどなのですが、
具体的には、
- 需要度の高い社員はいるか?
- メディア露出はどんなフローで行われてきたのか?
- 販路はインターネット以外に、大口取引はあるか?
- 法務面やコンプライアンス面で気を付けるべき点はあるか?
- 業界の将来性や参入障壁や差別化について
- 更なる拡大に向けて考えられることはあるか?
- 商品の品質は十分か?
などの質問がありました。
面白かったのは、
買い手企業の質問に対する回答を作るプロセスで、
創業当初から今までの活動を振り返れたことです。
「販売プロセスは頑張って整えたなー」
「一時期、組織がしんどかったけどやり切ったなー」
「良い物件がなかなか見つかんなかったなー」
と、懐かしさとともに、
やってきたことへの自負も感じました。
その後、買い手企業のオーナー経営者や担当者に、
「よくここまで頑張って作り込んできましたね。」
とコメントをもらった時は、
会社が軌道にのって成長し始めた時とは、
また別の嬉しさがありました。
経営者は孤独だとよく言われますが、
こんな形で癒されるとは思いませんでした。
情報漏洩の対策と実際に会社売却が成立まで経験した感想
「あなたの会社を買いたいと言っている会社があります。」(というDM)
会社売却が進んでいる最中も、
ほとんど具体的な買い手企業を用意していないDMがきます。
悩みどころなのは、
稀に具体的な買い手候補を用意しているM&A仲介会社からの連絡がある時です。
私の場合はニッチ業界の1位にポジションしていたので、
M&A仲介会社としても買い手候補を探しやすかったのだと思います。
こっちはこっちで高く売れる可能性があるなら、
他の意見も聞いたり、別のM&A仲介会社にも依頼したいという欲も湧いてきます。
しかし、
「専任にしないと、漏れたときに、どこが原因かわからなくなりますよ(キラン)」
という半分脅しに近いM&A仲介会社の言葉を聞いて、
この話は断ることにしました。
いくつかのM&A仲介会社と契約していると、
万が一情報漏洩した時にどこから漏れてしまったのか把握することができないことから、
私はM&A仲介会社は一社に絞り専任契約にしました。
それでも自社の売り出し情報が漏洩してしまったら、
引き返せない問題に発展してしまうと不安ではありましたが、
年間4000件以上あるM&Aの案件の多くが、
企業概要書(IM)による情報共有によるものだと考えると、
企業概要書(IM)を仲介会社に託して買い手企業を、
探す方法が妥当ではないかと思います。
買い手企業が興味を持つ企業概要書(IM)を作り、
M&A仲介会社は特別なことがなければ専任契約にし、
買い手候補先リストをしっかりと確認し提案指示をだすことを、
しっかりやっていくことが改めて大切だと思います。
ぜひ、よい会社売却に向けて頑張ってください。