M&Aのプロセス中に会社の業績が上がった場合の譲渡金額の上乗せ交渉について

以前にも書きましたが、私がM&Aに着手してから最終合意までに12ヶ月の期間がかかったことで、M&A期間中に次の決算日をまたぐことになりました。

そして、株価算定をした期よりも、翌期の売上と営業利益が約1.5倍に伸びたため、「売却のタイミングや交渉によっては、もっと高い譲渡価格に辿り着けたのでは?」という疑問や後悔の残るものとなってしまいました。

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当時は知らなかったのですが、売り手企業の業績が上方修正された場合に譲渡金額を上乗せする方法について、どんな方法があるのかを調べてみました。

目次

交渉のタイミング

交渉するにあたっては、本契約までにこれらを決めきる必要があります。

M&A仲介会社さんには依頼する最初の段階で、譲渡条件を伝える際に、「業績が上がっている中で会社売却となるため、アーンアウトや二段階譲渡の検討をしている」ということを伝えておくとよいでしょう。

方法①アーンアウト

契約した株数をすべて譲渡しますが、売却金額の一部を売買契約成立時に受け取り、追加で会社の業績や目標達成に基づき、契約した後日に受け取る方法です。

売り手企業のメリット・デメリット

売却後の業績向上により追加報酬を得られるため、業績向上に貢献すれば一括の売却よりも多い金額を受け取ることができます。
反面、業績目標が達成されないと、追加の対価を得られなくなります。売却後も会社に関与し続けるので、会社からは離れられない時間が増えます。また、買い手企業が倒産して回収不能になるリスクがあります。

方法②二段階譲渡

株式の一部を売却し、買い手企業とともに株式価値を高めた後、自己保有分の株式を後から売却する方法です(もしくは全株式の売却後に再出資して一部の株式を再取得する方法もある)。
ファンドなど、再売却を見込んでいる買い手企業が受けてくれやすい方法です。

売り手企業のメリット・デメリット

売却後の業績向上により株価が上がると、一括の売却よりも多い対価を受け取ることが期待できます。
反面、業績が伸びないことで株価が下がってしまうとか、再売却に失敗するなど自己保有分の株式を後から売却できない、などのリスクがあります。
売却後も会社に関与し続けるので、会社からは離れられない時間が増えます。

業績を伸ばせる自信があれば、条件交渉した方が良い

売り手企業は業績は伸びるからもっと高く評価してほしいですし、買い手企業は安く買収したいと考えていますから、売却額に乖離があります。アーンアウトや二段階譲渡はお互いの乖離を埋める有効な方法の1つだとされています。

買い手企業からすれば「めんどくさいのでパス」となることもあるかもしれませんが、買収後の経営統合や業績向上はコストもかかりますし、リスクも抱えています。もし旧経営者のノウハウやパワーを活用できるのであれば検討の余地があるものです。

売り手企業からすれば交渉はタダでできることですので、業績が伸びる確信があるなら交渉したほうがよいと思います。

なお、M&Aの中で定義されている方法ではありますが、最近ではM&A仲介会社の営業力の低下や、業界の変化で、これらの上乗せはレアケースになりつつあるようです。

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