全集中!譲渡先とガチンコで決めるべき本契約の内容で以前に書いた損害賠償の続きになります。
損害賠償の確認は重要、なぜなら交渉可能だから
M&Aはディール価格も大きい分、損害賠償の条件についてもかなりしっかりと決めることになります。
提案されたままの契約内容でサインする売り手企業もあるようですが、それはとても怖いことです。
中でも損害賠償の項目は、私の経験でも5往復の条件折衝をおこなった部分でした。
次に挙げる条件で、交渉が可能でしたので、参考にしてもらえたらと思います。
M&Aで交渉可能!損害賠償の発生期限
損害賠償には、例えば「株式譲渡契約締結日から◯年」という感じで発生する期限が設定されます。
この損害賠償の発生する期限は、個々の事例により事情は異なりますが、交渉が可能です。
私の経験でも交渉の結果、当初の設定年数より、1年短くすることができました。買い手企業にも損害賠償が発生するケースはあるのですが、たいてい売り手企業にかかる条件なので短いほうがよいでしょう。
M&Aで交渉可能!損害賠償の上限金額
損害賠償には、例えば「売主の負担する補償等の合計額の上限は、譲渡価額とする」という感じで上限が設定されます(なければそれはもっと怖い)。
この損害賠償額の条件も、個々の事例により事情は異なりますが、交渉が可能です。
私の経験でも交渉の結果、「売主の負担する補償等の合計額の上限は、譲渡価格の3分の2とする」という条件になりました(半分は無理でした)。
これは、M&A仲介会社の最低仲介手数料や、仲介手数料率、最終的な株式譲渡価格によっても減額率や交渉の難易度が違ってくると思います。
M&Aで交渉可能!損害賠償の株主一人辺りの上限金額
会社売却で株主が複数いる場合、提案される株式譲渡契約では「売主らは」というように一括りとされていることがあります。
このまま同意すると、損害賠償も「売主ら」の連帯で責任を負うことになるので、株主同士で損害賠償の信頼を共有できないと思われるときは、一人当たりや株数辺りでの損害賠償の上限設定をしておくのが良いだろうと思います。これは比較的交渉は難しくないはずです。
損害賠償の根拠は、本契約と表明保証した内容
そもそも、損害賠償の根拠になるのは、
- 株式譲渡契約の売り手企業側の義務の部分
- 提出した資料や回答
が対象となります。
そのため、
- 株式譲渡契約は「売り手企業としてすべて履行できる」と言える内容になっているか?
- これまでに提出した資料や回答に偽りはないか?
- 重要にもかかわらず提出や開示していない事実がないか?
など、売り手企業の過失がないように確認して、そもそもの損害賠償が発生しないようにしておくことが大切なのは言うまでもありません。