株式譲渡契約をむすぶ際の取り決めの一つに「経営者の引き継ぎの承認を得るべき取引先の選定」があります。
株式譲渡後、新経営者に対して主要な取引先の引き継ぎを適切におこなわれない場合や、引き継ぎを承認してくれない取引先がある場合、業績低下やトラブルの原因となる可能性があります。
そのため、この取り決めついては、自分事として捉え積極的に提案していきました。
引き継ぎの承認を得るべき取引先の選定
対象となる取引先の選定
買い手企業と協議の上、どの取引先から引き継ぎの承認を得るかを選定します。主要取引先や長期契約をむすんでいる取引先はもちろん必須ですが、その他の取引先についても、取引規模や重要度を踏まえて、どの取引先までは引き継ぎの承認を得て、どこからは承認を得ないという線引きを決めることになります。
当然、自分の方が取引先のことがわかるので、選定については積極的にリードして提案しました。
期限の設定
引き継ぎの承認を得るべき取引先が決まったら、いつまでに承認を得るかの期限も設定します。事業統合(PMI)のスケジュールに影響するため、全体の引き継ぎスケジュールに合わせて調整していきました。
スムーズに引き継げる関係を構築しておく
準備段階の話になってしまいますが、取引先との関係が経営者の属人性に依存しすぎると、株式譲渡後の取引先との関係に問題が生じる可能性があります。そのため、日頃から会社同士での関係性つくりや、自分以外の従業員や管理職の交流の機会を構築しておくと良いと思います。
株式譲渡契約には含まれないけど、引き継ぎ挨拶に行くこともあった
株式譲渡契約には含まれていないですが、ロックアップ期間中に、一緒に行った方が良いということになり、新経営者と共に取引先を訪問し、引き継ぎの説明を行うこともありました。
ロックアップ期間はできる限り、新経営者がやりやすいように最大限協力をすることにしていたので、株式譲渡契約に含まれていなくても積極的に一緒に動くことにしていました。
事業統合(PMI)と事業継続のための重要な取り決め
取引先から経営の引き継ぎの承認を得ることは、事業統合(PMI)と事業継続のためにも非常に重要です。そのため新経営者が次の経営をしやすいように、株式譲渡契約の取り決めでは、積極的に買い手企業に提案していき、結果としてどの取引先も問題なく承認をしてくれました。
良い株式譲渡となるためにも、売り手企業にも買い手企業にも重要な取り決めだと思います。