「取締役会、みんなで熱く議論して盛り上がったけど、議事録残してなかったー💦」
読者のみなさんは議事録しっかり残していますかー??
株式譲渡を円滑に進めるためには、必要な書類が揃っていることが大切で、もちろん売却のしやすさに影響します。
今回は、株式譲渡に必要な書類について書いていきます。
売り手企業が準備しておく代表的な書類
株式譲渡を行う際に売り手企業側で準備をしておく代表的な書類として以下があります。
- 企業概要書(IM):会社の基本情報をまとめた資料
- 財務諸表:過去3年分の貸借対照表、損益計算書など
- 事業計画書:今後の事業戦略や計画を示した資料
- 株主名簿:株主の構成と持株比率がわかる資料
- 組織図:会社の組織構造を示した図
- 重要契約書:主要な取引先との契約書のコピー
- 知的財産関連資料:特許、商標、著作権などの一覧
- 不動産関連資料:所有不動産の登記簿謄本、賃貸借契約書など
- 従業員関連資料:従業員名簿、雇用契約書、就業規則など
- 訴訟関連資料:過去および現在の訴訟に関する資料
- 許認可関連資料:事業に必要な許認可の一覧と証明書類
- 株主総会議事録:過去の株主総会の議事録
- 取締役会議事録:過去の取締役会の議事録
- 株式譲渡履歴:過去の株式譲渡に関する記録
記録や管理が漏れがちな書類
僕もそうでしたが中小企業の場合は、意思決定や承認を自ら行い、そのまま遂行するオーナー経営者の方もいるのではないでしょうか。
そうすると、株主総会議事録、取締役会議事録が漏れがちだったりしませんか?
僕の経営経験でも、株主のメンバーで頻繁に議論して、経営の意思決定や方針を決めてきていたのですが、M&A仲介会社の担当者さんに当時の写真などを見せつつ、「実際に総会はしてましたっ!」と伝えても「いやいや議事録を残してくださいね」と笑顔で突っぱねられたのでした。(トホホ)
上記はまだかわいいものですが、残していないと売却に影響する書類もけっこうあります。
残していないと売却に影響するレベルの書類
残していないと売却に影響するレベルの書類は上記6~14の書類です。なぜならこれらがないと買い手企業としても買収することができない可能性があるからです。
例えば、14.株式譲渡履歴。
自分で株式100%を所有しているオーナー経営者の場合は良いですが、株主が複数いて、身内、親戚、知人が株式を所有している会社もあります。
株主が複数いて、過去に株式譲渡がおこなわれている場合は、株式がいつ誰から誰に移動しているかが書面で管理している必要があります。できていない場合は、それぞれの履歴を確認して書面に残す必要があります。
履歴の書類管理に向けて、全株主とスムーズに書類手続きできないと、株式譲渡の履歴の確認が難しく、M&A仲介会社さんとのやりとりが長期化したり、買い手企業が買収対象として疑問を抱く可能性があり、M&Aの交渉が難航する恐れがあります。
書類はスキャンしてクラウド保管しておく
株主総会議事録や、取締役会議事録は手間取りましたが、その他の書類はしっかりとファイルに入れて管理保管をしていました。
しかし、M&A仲介会社さんに提出する書類は、原本ではなくコピーです。そのために各書類をスキャンしてクラウド保管しておく地味で時間のかかる作業が発生します。
常日頃から、クラウド保管しておけば、柔軟かつスムーズにM&A仲介会社さんとやりとりすることができます。
事前の書類準備で、売却しやすさが変わる!
逆にいえば、これら書類がしっかり整っていれば、必要な書類が揃っている会社として、M&A仲介会社とも連携が強まりますし、買い手企業からの信頼も得ることができるでしょう。
買い手企業との交渉が大きく進む前に、多少慌てつつも事前に全てしっかり準備をすることができました。
特に関係者とやりとりしないと成立していない書類については、売却のしやすさに影響がでます。前倒しで準備しておくことが大切ですね!