銀行融資がつきやすい会社は買収資金が捻出されやすい?
M&Aの業界では常識のようですが、買い手企業には「自社の信用だけでなく、買収先企業の成長性・資産状況・自己資本などの信用を使って、銀行融資を受けてM&Aの買収をする」という金融テクニックが存在します。
「ナニソレ、なんかずるくね?」というちょっと複雑な感想を持ちつつも、広く使われている買収方法だそうで、一般的な経営の財務・会計しか知らなかった私には、たいへん興味深く、目からウロコのお話でした。
これは逆に言えば「銀行融資がつきやすい会社は買収資金が捻出しやすいのでM&Aが成約しやすい」ということでもあります。
どういう会社だと銀行の融資がつきやすい?
銀行の融資を受けるには、主に次の3つが必要です。
ですので、これらをクリアして融資を受けやすい会社にしておくと、よりM&Aによる会社売却の難易度は下がるということになります。
- 銀行融資や審査に必要な書類を用意できること
- 銀行の審査の結果「正常先」と判断されること(財務状況もここ)
- 返済計画を具体的に立てれること
銀行融資や審査に必要な書類を用意できること
銀行の融資に必要な書類は主に次の通りです。
- 登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 納税証明書(振込履歴などで問題なし
- 決算書:損益計算書、貸借対照表 およそ2-3期分
- 確定申告書
- 資金繰り表
- 事業計画書
- 試算表
登記簿謄本、印鑑証明、納税記録、決算書、確定申告書などは普通にあると思いますが、資金繰り表や事業計画書や試算表は、小さな会社だったり順調な経営をしているとあまり手を付けていない書類かもしれません。
出口戦略で会社売却を狙っていくのであれば、定期的に作成しておくのがよいでしょう。
銀行の審査の結果「正常先」と判断されること
銀行の審査には、決算書など必要書類から融資のための審査があります(これを定量評価といいます)。
審査には「安全性」「収益性」「成長性」「債務返済能力」などの基準があり、これらで「正常先」と判断される必要があります。
「正常先」とは、「業績が良好で財務内容にも問題なし」という水準です。
また、返済に問題がないと判断してもらうために、自己資本比率も重要になってきます。
自己資本比率=自己資本/総資本×100
自己資本比率は40%以上が安全とされており、自己資本比率を高めるには利益を出して、法人税を納めて内部留保を貯めていかなければなりません。
返済計画を具体的に立てれること
買収資金を捻出するための融資が目的ですから、融資の返済計画は、買い手企業の人たちが考えるべきことです。
売り手企業の経営者が、返済計画を考える必要はいっさいありません。
しかし、会社売却したいというこちらのメリットと共通する部分もありますので、買い手企業が返済計画を立てるために必要な材料の提供は、協力したほうがよいだろうと思います。
経営分析的によい指標となる経営状態を達成したり、それらが分かる書類の準備や、助言などです。
出口戦略を考えると銀行融資を受けやすい会社になる
私が会社の出口戦略を考え始めたころ、会社売却するには大きな会社にしておいたほうがよいという考えになりました。
大きい会社とは、売上高と総資本と自己資本が大きい会社だと捉えて、そのときから節税よりも納税に思考をシフトさせたのを覚えています。
また、融資審査の判断材料となる指標は「経営分析」というキーワードでネットでもたくさん情報が出ていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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