「え……! 仲介委任契約にマジでこんな条項が入れてるんですか!
御社なかなかエグいですねwww」
私もM&A業界の洗礼を受けて、とてもおどろきました笑
会社売却の仲介を依頼するとき、M&A仲介会社さんとは「仲介委任契約」的な契約書を結ぶことになります。
M&A仲介会社さんは、売り手企業にとって味方でもあるのですが、契約書には売り手企業に不利になる項目も含まれていることがあります。
ということでM&A仲介会社さんとの仲介委任契約について、売り手の立場で注意したことを書いてみたいと思います。
株主が複数いる場合は、人数分の契約書作る
これは当たり前といえば当たり前なのですが、株式譲渡をする株主が複数いる場合は、株主の人数分契約書を同時に作ります。
誰かが「株式譲渡しない!」となったらM&Aが成立しなくなるからです。
たとえば株主が3人いれば、株主3+M&A仲介会社の4者契約で4通の契約書を作成します。
慣れないと、甲1,甲2,甲3,といった書き方に読み間違いをしやすくなります。
中には、甲1に委任して、甲1が代表して契約を実行する、という契約内容もありますので、その条件でよいか確認しておきます。
株価算定や企業評価
「着手金として案件化料や企業評価料はもらいますけど株価算定は草案です。最終の株価の判断は売り手企業の責任ですヨ!」みたいなことが書いてある場合があります。
なんと頼りない!
まあでも、これはM&A仲介会社が責任を取り切れることではないですし、株式譲渡する株価の決定は、売り手企業が責任を持ったほうが良いと思います。
専任・非専任
基本的にどこのM&A仲介会社も、しれっと専任契約の契約書を持ってきます。
おい、そういうトコやぞ?笑
事前に協議して、専任で依頼するのか、非専任で依頼するのか、条件を決めなければなりません。
彼らはものすごく専任でやらせてほしいと言ってきます。
専任でも非専任でも、どちらもメリットとデメリットがあります。
どちらがよいかは売り手企業の状況や希望によってケース・バイ・ケースです。
仲介手数料の発生条件について
契約書の中で一番おどろいたのが、
「アタックリストを作成した時点で、その買い手企業は我が社の仲介実績!ほかにどんな商談ルートがあってもそこと成約したら仲介手数料払ってネ」的な条項があったことです(テール条項といわれる経済産業省のガイドライン的にもダメなヤツです)。
え?アタックリストを作成した時点?
あなたの会社の、買い手企業への営業の確度もわからないのに?
他の商談ルートのほうが先に営業しているかもしれないのに?
仲介手数料の発生は「買い手企業の役員以上とトップ面談をして最終合意を締結した場合」に変更をお願いしたら、すんなり通りました。
M&Aの契約書は、これくらい強引なことが書いてあるのだとよい教訓になります笑
直接交渉の禁止
M&A業界の最大のタブーが、直接交渉の禁止です。
直接交渉に対しては、相当重いペナルティがあることが書かれているかと思いますが、これを許すと業界が成立しないくらいのヤバいルールなので、これは依頼主としても違反しないようにしましょう。
守秘義務の適用範囲
守秘義務についても項目がありますが、守秘義務の範囲を定義していない契約書もあったりします。
会社によっては、バックオフィスや専門業務、アドバイザーなど、顧問や外部委託しているケースもあるはずですので、実態に即した表現に修正してもらうのがよいと思います。
実費別途
「M&A仲介会社は、必要に応じて、仲介以外の実務が発生した場合の実費は請求できる」的な条項が書かれていることもあります。
「売り手企業の事前の同意がある場合に限り」と書いてない辺りが、なかなかヤバい内容です。
当然、条件は追加してもらいました。
買い手企業の株の売買の禁止
買い手企業が、株式上場した企業のケースも多々あります。
M&Aの成約を知っているということは、M&Aの買い手企業の買収を事前に知っているということです。
その状態で、買い手企業の株式の売買をすると、インサイダー取引で、刑法の違反になりますので、絶対やってはいけませんし、誰かにやらせてもいけません。
これは素直に従いましょう。
人生でインサイダー取引が間近にあって「おお、これがよくニュースになってるやつかあ!」となりました。
さいごに
M&A仲介会社さんに依頼するときの「仲介委任契約」について書いてみました。
大きな金額の取引になりますので、M&A仲介会社さんが提供するサービス、売り手企業の支払いや、契約期間やその他条件をきちんと内容を理解して契約する必要があります。
信頼を寄せるのは、修正した契約書をお互いに締結してからがよいですね 笑
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