会社売却を経験した今、既存顧客のサブスク事業で売上が立っている会社がどれだけM&Aにおいて魅力的か非常によくわかります。
その理由について下記に書いていきます。
M&A市場におけるサブスク事業の魅力
サブスク事業が買い手に評価される点として以下が考えられます。
収益が安定している
既存顧客のサブスクで売上がたっているということは、すでに安定した収益があることを意味します。毎月(もしくは毎年)一定の収入が見込めるため、未来の収益が予測しやすくなることは買い手企業にとって魅力的です。
顧客生涯価値(LTV)が高い
既存顧客に積極的にサービスを利用してもらい、定期的な支払いを受けることで、顧客生涯価値(LTV)が高くなります。新規顧客獲得コストが高くなっている現在、既存客の顧客生涯価値を高める条件が揃っていることもまた魅力的です。
クロスセルやアップセルの機会が多い
既存の会員に対して新たな製品やサービスを提案するクロスセルや、よりグレードの高い製品やプランを提案するアップセルを行えるチャンスが多いといえます。
これらは全て、買い手企業に高い評価を持たれる部分となります。
買い手企業のサブスク事業買収のメリット
サブスク事業を買収することで、買い手側企業は以下のようなメリットがあります。
買収後の統合や導入コストが低い
すでに既存顧客からの定期的な収益があり、ビジネスが完結いるため、買収後スムーズにその価値を享受することができます。この買収後の統合や導入コストが低いことは買い手企業にとって大きなメリットになります。
顧客リストが拡大する
買い手企業からみて、買収により顧客リストを一気に拡大できることは大きなメリットです。また自社にない顧客層を獲得できた場合は、新たな市場を開拓するチャンスにもなります。
経営シナジーが発揮できる
買収によって、既存事業の商品力・サービス力や、技術力、営業力とのシナジー効果を創出することができます。これにより、同市場内での競争力が向上することも大きなメリットです。
M&A市場においてサブスク事業は売却しやすい
顧客情報獲得コストが高まる現在において、サブスクモデルが成立している企業は、買い手企業にとって魅力的であり、企業売買におけるスイッチングコストも低いので、買収しやすい対象となります。
また、サブスク市場全体では勝ち残っている企業が少ないため、M&A市場に出る場合は希少性も高くなるため売りやすさの後押しになります。
僕の売却経験のなかでは、会員数やサブスクが強みになるビジネスがなかったことと、リストマーケティングのようなことはできませんでしたが、顧客リストは数万件あったこともありました。もし、顧客リストに価値を作ることができたら、買い手側にさらに評価してもらえたと思います。
M&Aが盛んになっている現在、既存顧客のサブスクで売上が立っている企業はさらに売りやすくなっていくでしょう。