これからM&Aの会社売却にチャレンジする方の参考になるように
「M&Aのスタートから着金までのロードマップ」を売り手企業目線での解説付きでまとめました!
- M&Aの会社売却の全体スケジュールや進行がわかる
- M&Aプロセスごとにどんな準備をしておくとよいかがわかる
- M&Aプロセスを事前に知っておくことで不安を減らせる
- M&Aプロセスにかかる余分なコストや負担を減らせる
参考にしてもらえればと思います!
なお、かかる期間は、依頼から最終合意までが6ヶ月くらいが目安と言われています。
M&A仲介会社を選んで会社売却の準備を進める 【 STEP 1 〜 STEP 7 】
- 自社と相性が良いM&A仲介会社、条件の合うM&A仲介会社がどこか見極めるために複数社と打ち合わせをおこないます。
- 相手によっては、がっかりすることもありますが、めげる必要はありません。
- ここで伝える自社の情報は、公開しても問題ない範囲に留めておきます。
- M&A 仲介会社からの株価算定や提案を受けるために必要な自社の決算書や社内資料を開示する目的で守秘契約を結びます。
守秘契約を結んだM&A仲介会社と
- 会社売却の目的と得たい成果のすり合わせ
- 株価算定やM&A仲介会社からの提案を受けるための情報を共有する
- スケジュールと連絡方法の確認 などを行います。
- 「STEP③のキックオフミーティング」を踏まえてM&A仲介会社各社からの株価算定や、仲介手数料、M&A仲介会社の強みなどM&Aに関する各種提案を受けます。
- 経済産業省の指導で、仲介手数料の金額や条件など、重要事項説明をすることが義務付けられました。重要事項説明がないM&A仲介会社はコンプライアンスが不十分な可能性があります。
- 専任契約・非専任契約などをよく検討して、依頼したいM&A仲介会社と委任契約を結びます。
- 着手金がある場合はこのタイミングで支払いをしましょう。
- 買い手企業に提案していくための企業概要書(IM)を作成するための各種資料の提出をおこないます。
- 事前の準備ができていて、必要書類の提出が早いとスケジュールを前倒しできます。
- 仕上がってきた企業概要書(IM)をチェックして、修正があれば指示出しをします。
- 魅力的な提案資料になっているほうが良いので納得のいくものにしましょう。
ここまでがM&Aのスタート部分。M&A仲介会社さんと会社売却に向けて、準備や条件を整えていくフェーズになります。
ここからは準備した企業概要書(IM)を使って、買い手企業にアプローチをしていくフェーズに入っていきます。
買い手企業と交渉を進めて会社売却を実行する【 STEP 8 〜 STEP 14 】
- M&A仲介会社から、これから営業する買い手企業候補のリストを提案されます。
- 要望を伝えることもできますし、営業してほしくないNG企業があればそれも伝えます。
- 作成したら終わりではなく、「STEP⑫基本合意」に至るまで継続的に増えていきます。
- 買い手企業候補とのトップ面談の期間です。
- この期間は、「STEP⑪意向表明」の提出期限を設定し、それまで続くことが多いです。
- 小さなM&A案件だとトップ面談ではなく、買い手企業のM&A担当者との面談になることもあります。
- トップ面談をした買い手企業候補の要望で自社の視察を実施することがあります。
- この期間に買い手企業が自社の信用調査や、同業他社へ当社の評判ヒアリングをしてることもあります。
- 成約価格の高いM&A案件だと、やたらとM&A仲介会社から接待受ける期間でもあります。
- ここまでに残っている買い手企業候補からの意向表明を受ける期間です。
- 意向表明請書を交わした時点で、他の買い手企業候補との商談はすべてストップします。
- 基本合意を結ぶと、お互いの条件が合わず交渉がブレイクするまで、基本的に会社売却を引き返せなくなります。
- 結んだ基本合意書は、最終的には株式譲渡契約に上書きされますので、そこに向かっていくための基本的方針について合意をします。
- 買い手企業が売り手企業の経営内容を調査するとても重要な期間です。
- 積極的に協力する必要があり、書類提出にかかる期間によってもこの期間の長さが変わります。
デューデリジェンス(DD)と同時並行で行う準備
買い手側の社内視察《期間:かかる期間は内容による》
デューデリジェンスの一環や、買い手企業の準備、まだ会っていない取締役との顔合わせなど、経営統合(PMI)の下慣らし的な意味で、改めて視察が入ることがあります。
最終合意案の条件のすり合わせ《期間:⑬デューデリジェンスと同時並行で、かかる期間は内容による》
- 買い手企業との最終合意に向けての株式譲渡契約や、ロックアップ期間中の経営委任契約などの契約内容のすり合わせをおこないます。
- 買い手企業に明らかな違約(株式譲渡金額の融資が下りなかったなど)がない限り、売り手企業としては解除ができません。
- 株式譲渡契約の締結
- ロックアップ期間がある場合は、経営委任契約
- 株式譲渡の着金確認
- 印鑑や印鑑証明や銀行口座等、重要品の引き渡しと「重要物品受領書」
- 買い手企業側の取締役や代表取締役の任命をする取締役会の開催と議事録の作成
※関連記事、近日公開予定
ここまでがM&Aのコア部分となる買い手企業との基本合意、デューデリジェンス(DD)、最終合意からの本契約までのプロセスです。
本契約も完了しましたので、次は会社売却後に発生する支払いやロックアップなどについて解説しています。
会社売却後の支払いやロックアップなど【 STEP 15 〜 STEP 19 】
- 買い手企業との株式譲渡が成立すると、M&A仲介会社からの仲介手数料の請求があります。
- 一週間程度での入金をお願いされました。
- 会社が合併する場合には、株主や債権者に対して、会社法799条で債権者への個別告知または公告義務があり、官報に掲載されるなどして異議申し立て期間が一ヶ月設定されたりします。
- これは法務局への登記の待ち時間なだけなので、その他の手続きは平行して進めることが可能です。
- 公告期間が過ぎると会社合併が実行される場合があります。
- M&Aが成立すると、M&A仲介会社の段取りで「成約式」と呼ばれるセレモニーをすることがあります。
- 業界カルチャーですが、売り手企業としても気持ちの区切りになると思います。
- 株式譲渡後も経営がうまくいくよう積極的な協力をします。社内発表があるのもこの頃です。
- 買い手企業と合併し経営統合するケースも、子会社として資本関係を整理するだけのケースもあります。
- ロックアップ期間は、経営の継続や引き継ぎを目的とした旧経営者の残留期間です。
※関連記事、近日公開予定
- ロックアップ期間が終了した後も、お互いの条件交渉で継続して働くこともできます。
- 顧問や会長のように非常勤で、会議のときだけ出席するといった契約を続けるケースもあります。
会社売却が完了した後に、M&A仲介会社への支払い、買い手企業への引き継ぎやロックアップ期間など、本契約に基づいたタスクが発生します。
たいへんなプロセスはもう残っていませんが、1つずつ丁寧に完了させていきましょう。
終わりに
「会社売却する前に知りたかった!」
ネット上を探してみても売り手目線でのM&Aプロセスを解説した情報はなかったので、これからM&Aで会社売却を目指す方に役立つよう、ロードマップをまとめてみました。
事前に知識として把握することで、コストや負担や不安を減らし、効果的にM&Aを進めて資産形成に役立てていただけたら幸いです。
また、これからM&Aの準備を始めたいなど、このロードマップについて掘り下げて確認したい場合や、質問がある場合は、問い合わせフォームや、株式譲渡ニキたちへの相談フォームからご連絡ください。